「素顔の美酒」を醸す蔵

佐渡西部・真野湾最奥部に位置する蔵元で、かつては遠浅の海底だったため、地下には厚い貝殻の堆積層があり、その層に濾過された清冽な水に恵まれています。小規模ながら全量酒造好適米を使用し、１００パーセント自家精米で、新潟の酒の特徴とされる淡麗辛口タイプとは一線を画し、米本来の味を生かし、コクとふくらみのあるお酒を醸しています。炭素濾過によって画一的な味に仕上げるのではなく、醸したままの酒の味わいと蔵の個性を大切にした「素顔の美酒」が我が蔵のキャッチフレーズです。

人と人とのつきあいを深めてくれる酒

蔵人五人という少人数での酒造りですが、全行程を人の手による丁寧な酒造りを信条としています。造り手側から感じる純米酒の魅力は、アルコール添加による酒の軽快さではなく、精米歩合や仕込配合、そして造りの現場の裁量によって味のふくらみやきれいさを表現できることだと思います。蔵元自身は、あまり酒量は多くないのですが、飲んだ方に「おいしい」と言っていただけると、自分が造ったお酒の方向性に共感していただけたようで、とても嬉しくなります。日本酒は、人と人とのつきあいを深めてくれるお酒だと思います。これからも、味のふくらみと柔らかさを持ち、後のキレがきれいな飲み飽きしない酒を醸していきたいと思います。